獣医麻酔とは

獣医の麻酔医のお仕事とは?

 

今回は獣医麻酔科医ってどんなお仕事?っと思う方もいると思うのでその仕事の内容に関して書こうと思います。

人の麻酔科は医龍の荒瀬とか、ドクターXの城之内さんとかドラマにも取り上げられてます。実際の麻酔科はあんな華やかではないと思いますが。ただ、獣医の麻酔科は全く知られてないと思います。どんなことをしているのか 説明していこうと思います。

基本的な仕事の内容は人の麻酔科医と同様です。寝かせるための準備をし、手術中の患者の命を守り、元の生活を行うために起きたあとの管理をします。

全ての行程を通して言えることですが、麻酔科の仕事は様々な手術に関するリスクを減らすことです。

順に説明していきます。

1, 麻酔前の準備

麻酔を安全に行うためにしっかり準備します。麻酔科の業務でいちばん重要なステップです。

患者の評価 

手術の前に患者を評価します。病状動物種年齢の確認はもちろんのこと、既往歴だったり、どんな薬を現在飲んでいるのか、過去の麻酔記録等を確認します。また、血液検査や画像検査(超音波やX線)等の検査結果も確認し、担当医と話をし、状態を詳しく聞きます。

手術手技の確認

どの様な手術を行うかを確認いたします。同じ病気でも手術の方法は状態や、担当医によって異なるので確認します。特に初めて担当する外科医の場合、しっかりと聞く必要があります。その外科医にとっては当たり前のことでも、一般的には当たり前でないことも多々あるので確認が必要です。麻酔中トラブルの原因になります。コミュニケーションは非常に重要です。

プロトコルの作成

患者の状態、手術内容を考慮し、どんな薬をどれだけの量を使うのかを決定します。また、手術中に起こりうるリスクに関して考え、対策を考えておきます。トラブルが起きてから考えるのでは無く、起きる前に考えることでスムーズな対応が可能となります。

薬・必要器具の準備

考えた薬の準備をします。また麻酔に際し必要な器具(気管チューブや喉頭鏡、針等)も準備します。また麻酔に使用する、麻酔器の確認(麻酔回路含め)も行います。準備忘れがあると麻酔をかけてからのトラブルに繋がります。

2, 患者を寝かせる

麻酔前投与

しっかり患者を寝かせる前に必要な薬を入れます。

特に獣医医療の場合、しっかりと寝かせる前に鎮静薬が必要になることが多いです。ヒトと違い言葉は通じないので、病院の様な場所に何故来たのか、また手術をなぜ受けなければならないのか伝えることはできません。そのため、いきなり入院室にいれられると不安で仕方ないですし、そのままの状態で寝かせるために台の上に乗せられるとより不安で仕方ないです。もちろん怒る患者もいます。たまに、どんな状況でも楽しそうな子もいますが。笑

なので鎮静薬を投与し、不安を減らします。またこういった鎮静薬を入れることにより、他の麻酔薬を必要以上に入れる必要がなくなるといった利点もあります。必要性に応じて、吐き気止め等も投与します。

導入

導入薬(患者を寝かせるための薬)を投与します。導入薬をいれ、気管チューブを入れて、気道の確保を行います。そして、完全に寝かせます。馬や牛といった大動物であると立っている状態から上手く寝かせないと骨折してしまうリスクがあります。

3, 麻酔維持

麻酔をかけて寝ているという特殊な状態でも、命を守るために様々な項目のモニタリングをすることにより、患者を管理します。心拍数血圧、呼吸数等様々な項目を総合的に評価し、対応していきます。

手術前

麻酔ガスもしくは麻酔薬の持続点滴により、寝てる状態を保ちます。そして、術野の毛刈り消毒を行います。毛刈りがあるのが獣医らしいかも知れません。この準備の時間が結構かかります。必要に応じて、患者の姿勢を変えます。大動物だと専用のクレーンを使用する必要があり、大掛かりです。

手術中

寝ている状態を維持します。手術中は疼痛管理(痛みの管理)も重要な仕事となります。また、生体のいくつかの機能を麻酔薬によって止めてしまっているため、血圧を維持したり、呼吸をさせたりといったことを麻酔科医が患者本人の代わり行います。そのために、特別な薬や、機械を使います。また麻酔中にトラブル(出血や不整脈等)が起きた場合も対応します。事前に出血や不整脈が多そうな手術ということを予想できていれば、輸血や薬等を準備することも可能な場合があるため、準備の段階が非常に重要です。もちろん全て予測することは不可能なので、その場で対応することも必要です。

4, 覚醒

安全に患者を起こします呼吸が安定しているか、また痛みはどうか評価します。動物は話せないため、痛みの評価は獣医医療にとって大きな課題です。鎮痛薬や鎮静薬を必要があれば使い、ゆっくり覚醒させます。獣医医療の場合は、患者は手術をした理由を認識できないため、覚醒後に痛みが少しあるとパニックを起こしたり、不安が増長したりします。結果としてご飯を食べなかったりします。そのため、必要があれば薬等の介入をします。また馬はここで起こしかたを間違えると骨折します。そして安楽死を選択しないといけない事態になります。わたしは経験がありませんが、キリンは覚醒時に長い首を振って起きて、骨折するトラブルがあるらしいです。

以上が獣医麻酔科医の仕事の大まかな流れになります。

少しでも獣医の麻酔科医の仕事を身近に感じていただけたら幸いです。