今回プロポフォールの出荷調整が丸石製薬から出されたようです。(丸石製薬のWebサイト)
獣医領域への影響は定かではありませんが、不足した場合に備えて違う導入法を知っておく必要はあるかもしれません。もしよろしければ参考にしてください。もし欠品状況に獣医領域においてなる場合にはさらに詳細を記載する予定です。
プロポフォール以外の選択肢
プロポフォール以外の選択肢はAAHA(American animal hospital association)の表が参考になるかと思います。(麻酔導入薬のリスト)
こちらに書いてあるものの中から、日本で使用可能なアルファキサロンと、ケタミン+ミダゾラム(ジアゼパム)に関して紹介いたします。
アルファキサロンに関して
使用方法
アルファキサロンはプロポフォールと使用方法は変わりません。導入の際にはプロポフォールと同様にゆっくり静脈内に投与し、顎緊張が挿管に充分な程度なくなり、喉頭反射もある程度抑えられれば挿管できます。
投与量に関して
投与量に関しては上記のリンクに書いてある投与量を参考にしていただけると良いと思います。投与量に関してはプロポフォールの大体半分程度で同じ効果を得られると覚えるのが簡単です。
呼吸抑制に関して
呼吸抑制の程度もプロポフォールと大きく変わりません。呼吸抑制効果があるため、しっかり酸素化をした後にアルファキサロンを投与して導入しましょう。
循環への影響に関して
プロポフォールと異なり、心拍数が導入直後に大きく上がることがあります。何もしなくても通常の心拍数に戻ります。この心拍数の上昇は前投与薬にもよります。他に心拍数が上がる原因がないか確認は絶対にしましょう。(酸素化や血圧等)
その他の注意点
プロポフォールと同じように幅広い症例に使用することができます。
プロポフォールと異なり肝臓のみでの代謝ですが、肝機能低下症例にも使用は可能です。(※プロポフォール使用の選択肢があるのであればプロポフォールの使用をお勧めします) 、
値段がプロポフォールに比較し高いです。
ケタミン+ミダゾラム(ジアゼパム)に関して
使用方法に関して
使用方法はプロポフォールと大きくは変わりません。2つの薬剤を一つのシリンジに混ぜて投与する方法と、ミダゾラム(ジアゼパム)を先に全量投与した後にケタミンを投与する方法があります。どちらでも問題ありません。ミダゾラムを健康な犬猫に投与すると興奮することが多いので、別々に投与する場合はケタミンをミダゾラム投与後、興奮する前に投与し始めることをお勧めします。
投与量に関して
投与量は上記のリンクを参考にしてください。ケタミンもミダゾラム(ジアゼパム)も命に関わる副作用が少ない薬ですので、表の投与量の範囲であれば安全に使用できます。挿管への投与量が足りない場合はケタミンを追加で投与することが可能です。また喉頭反射が強い場合はリドカインを喉頭に使用することも一つの方法です。
呼吸抑制に関して
呼吸抑制はプロポフォールに比べて少なく、自発呼吸を維持しやすいです。
循環抑制に関して
循環抑制もプロポフォールと比較して少ないです。
その他の注意点
猫においては腎臓病があると、ケタミンの効果が長く出ることがあるため覚醒遅延につながる可能性があります。(使用は可能です)
麻酔効果の持続時間ががプロポフォールに比べると長いです。
※ミダゾラムも出荷調整の対象に入っています